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乳糖不耐症 [ヨーグルト・乳清タンパク]

 牛乳を飲んでお腹がごろごろする人を、乳糖不耐症といったりします。乳糖とは字が示すとおり、牛乳や母乳に多く含まれる糖です。乳糖不耐症の人は、牛乳中に含まれる乳糖を分解することができなくて、お腹がゆるくなるのですが、実はほとんどの哺乳類は成長すると乳糖を分解できなくなります
 人も、昔はみんな成長すると乳糖を分解できなくなりました。というのは、大人になってからも母乳を飲む人はいなかったし、エネルギー源の大部分は米、麦、いも類のデンプンだったので、大人は乳糖を分解する必要がなかったのです。
 ところが、地球上に人が増えていって、穀物が育てられない寒い地域(ex.ヨーロッパ)にも人が住むようになりました。穀物は育ちませんが牧草は生えるので、牧草を育て、それを牛に食べさせ、その牛の肉を人が食べる、というシステムを考え出しました。人は本来、穀物を食べていたのですが、穀物がないので仕方なく肉を食べるというグループができました。
 そのグループの中に、牛の乳を摂取しようとする人も出てきて、さらに、突然変異で大人になっても乳糖を分解できてしまう人も現われました。いわば、「大人になったのに乳糖を分解できちゃう、お子ちゃま病」の人です。そして、「お子ちゃま病」の人は、乳糖を分解できない人よりもエネルギー摂取が有利なので、少しずつ増えていきました。で、逆に、大人になったら乳糖を分解できなくなる当たり前の人を「乳糖不耐症」なんていうようになってしまいました。

 でも、乳糖を分解できないよりは分解できたほうがいいじゃん、と思う人も多いでしょう。ところが、「お子ちゃま病」の人は「乳糖不耐症」の人よりアミラーゼの分泌が少ないということがわかっています。アミラーゼとはデンプンをブドウ糖に変える酵素です。ごはんを良く噛むとだんだん甘くなってきますが、これは唾液中のアミラーゼの作用によるものです。「お子ちゃま病」の人はアミラーゼを犠牲にして、乳糖分解酵素(ラクターゼ)を作っているのです。
 アミラーゼの分泌が少ないということは、ごはんやパンだけを食べていてもおいしいと感じません。どうしても砂糖の使用量が多くなってしまいます。欧米、特にアメリカに、砂糖と油をたっぷり使った食品が多いのは、ここにも一因があるのです。
 「乳糖不耐症」の人は、昔の人が獲得した、砂糖に頼らなくても甘味を感じることができるというすばらしい機能を残しているのです。

注)
上で、穀物が育てられない寒い地域(ex.ヨーロッパ)と書きましたが、作物の品種改良が進み、現在では多くの穀物がヨーロッパで収穫されています。


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ホルスタイン

先天性乳糖不耐症の人は遺伝子による遺伝の可能性は高いです。このような人は赤ちゃんの時でも母乳が飲めない人で、先天性乳糖不耐症といいますが、何十万人にひとりと非常に稀です。

一方、後天的乳糖不耐症の人は腸内の乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が牛乳などの飲用をしないことにより、体内に乳糖が入らないため、使われないラクターゼが段々減ってきます。
その後、乳糖を含む食品を摂った場合、ラクターゼが少ないため腸は異物と判断してしまいます。その為、下痢やおなかがゴロゴロする人がいますが、乳糖を少しずつ摂ることにより、このラクターゼは徐々に増えてきます。
by ホルスタイン (2007-07-05 09:55) 

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