SSブログ

牛乳中の乳清タンパク [ヨーグルト・乳清タンパク]

 先日、牛乳中のカゼインと乳清タンパクの比を、母乳中のそれと比較しましたが、これは、牛の乳と人の乳を比較する意味で書きました。しかし、搾りたての牛の乳と私たちが飲用する牛乳とでは、少し成分が異なります。ちなみに、搾りたての牛の乳を生乳(せいにゅう)、それを飲用するために調製したものを牛乳といいます。そして、その調製された牛乳は加熱殺菌されているので、タンパク質の一部が変性しているのです。カゼインは熱に強いタンパク質ですが、乳清タンパクは熱に弱いタンパク質です。
 卵をゆでると、白身や黄身が固まります。これは、白身や黄身の中に含まれるタンパク質が変性することによります。タンパク質が変性することにより、そのタンパク質が持っていた機能が失われることを、失活するといいます。(加熱以外にも変性し、失活することはあります。)
 牛乳を流通させるためには、加熱殺菌をする必要があります。加熱殺菌しなければ、すぐに腐敗してしまいます。この加熱殺菌時にゆで卵のときと同様のタンパク質の変性が起こってしまうのです。現在、殺菌は次のようないくつかの条件で行われています。

低温長時間殺菌(LTLT:Low Temperature Long Time)
 62~65℃で30分間殺菌する方法で、搾りたての風味を残した「低温殺菌牛乳」の製造に用いられる方法。大量生産に不向きなのが欠点。
高温短時間殺菌(HTST:High Temperature Short Time)
 72℃以上で15秒間以上殺菌する方法で、欧米などでは一般的な方法。高温度での殺菌では、低温度での殺菌に比べて、品質の保存性が向上する。
超高温瞬間殺菌(UHT:Ultra High Temperature)
 120~130℃で2~3秒間殺菌する方法で、日本の牛乳はほとんどがこの方法。プレート型の殺菌機で急速な加熱・冷却を行うため、大量生産が可能。
超高温滅菌(LL:Long Life)
 135~150℃で1~4秒間滅菌する方法で、LL(ロングライフ)牛乳に用いられる。微生物による変性がないLL牛乳は、常温で60日間の保存が可能。

 スーパー等で見てもらえばわかるように、日本で売られている大部分の牛乳はUHT殺菌されたものです。この殺菌法では、乳清タンパクは変性してしまい、特に重要な機能成分である抗体は、完全に失活してしまいます。しかし、LTLTやHTSTでは抗体の一部は失活せずに機能を保ったまま残存しています。

 ところで、チーズ製造時の原料乳の殺菌は低温殺菌で行われます。そして、乳清タンパクはチーズとして固まらずに上澄みに出てくるのです。ということは、この上澄み中には機能を保ったままの抗体が含まれていることになります。チーズ製造時にはこの上澄みはたくさん出てきます。これをさらに高度に加工したしたものが、母乳のチカラということになります。

 活性のある抗体を含む乳清タンパクは、市販のUHT殺菌牛乳をどんなにたくさん飲んでも、摂取することができません。原料乳の殺菌時から抗体の活性を保持するように作られている母乳のチカラのような乳清タンパクを摂取するのが一番の近道です。
母乳のチカラ(乳清たんぱく含有食品) 10g*30包


nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 1

shamotora

牛乳に対するトラバ有難う御座いました。
多分に学術的な内容なので、些か素人
には難解ですが、大意は掴めました。
これからも参考になるコメントを頂戴出
来ますれば幸いです。
by shamotora (2006-09-02 15:03) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

懸賞応募と郵政公社YouTube ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。