α-ラクトアルブミン [ヨーグルト・乳清タンパク]
前に書いた記事でアルブミンについて細かく解説してくださいとコメントがついていました。内容的にα-ラクトアルブミンのことと思い、いろいろ調べていたのですが、結構おもしろいことがわかりました。コメント主の希望するものとは離れてしまいますが、書いておきます。
牛乳中に含まれる乳糖はラクトースとも言い、グルコース(ブドウ糖)とガラクトースという2つの糖が結合したものです。
グルコース(ブドウ糖)+ガラクトース⇔ラクトース(乳糖)
α-ラクトアルブミンはラクトース合成酵素として、乳腺内でのラクトース(乳糖)の生合成に関与しています。この最終反応は、ガラクトースへのグルコースの結合ですが、これにはα-ラクトアルブミンとガラクトシルトランスフェラーゼの2種類の酵素が必要です。α-ラクトアルブミンは、この反応でガラクトシルトランスフェラーゼの触媒部位を修飾し、この酵素に結合したガラクトースへのグルコースの結合を促進します。ガラクトシルトランスフェラーゼは、α-ラクトアルブミンが共存するとグルコースに対する親和性が高まるので、ラクトース合成の触媒作用が発揮されます。α-ラクトアルブミンが存在しない場合、この酵素はN-アセチルグルコサミンへのガラクトースの導入を触媒し、糖タンパク質の糖鎖などが形成されます。哺乳動物乳汁のα-ラクトアルブミンと乳糖の間には相関関係があり、乳糖含量が高い乳汁ではα-ラクトアルブミン含量も高くなります。
また、α-ラクトアルブミンはリゾチームと構造が似ています。リゾチームとは細菌の細胞壁を切断する酵素で、唾液中や乳汁中にも含まれ、消炎剤として医薬品としても用いられています。α-ラクトアルブミンはリゾチームから分かれて進化したようです。
以上、α-ラクトアルブミンの酵素的な役割でした。
>哺乳動物乳汁のα-ラクトアルブミンと乳糖の間には相関関係があり、乳糖含量が高い乳汁ではα-ラクトアルブミン含量も高くなります。
牛乳関係の獣医をしておるものです.
ラクトアルブミンt乳糖が正の相関を持っておる!
という思いはあったのですが,同意見の記述があったのでうれしい次第です.ご覧になった論文などございましたら紹介していただけないでしょうか?
by 乳糖マニア (2011-05-26 05:59)